
Artist : 上出遼平 / ディレクター
映像ディレクター。作品に『ハイパーハードボイルドグルメリポート』シリーズ、『MIDNIGHT PIZZA CLUB』、『BAD PHARMACY』、『UNCOVER』、『健康チャンネル』など。堀内太郎(TH):上出さんは職業として何と言うのがいいんでしょう?
上出遼平(RK):なんでもいいと言っていますね。ディレクターか作家、テレビディレクターとか。
TH:断定できないし、いろいろありますよね。ルポライターの要素もあるし。
RK:ポッドキャスターでもありますし、プロデューサーでもありますしね。
TH:すごい肩書きの量ですね(笑)。
RK:何でもやって、わけ分からなくなってます。
TH:だからこそ、いろんな職業トライアングルの中間にいるといろいろなものに対応もできる。
RK:そうもいえますね。基本的には、テレビディレクターという軸足はあるんだと思います。それを使っていろんなことを、その時に得たことを使ってやってるっていう感じだと。
TH:テレビ業界にいたんですよね。
RK:そうですが、言うならたまたまですね。実はテレビを全然見て育ってないんで。
TH:あ、そうなんですね。テレ東って今すごいですよね。
RK:いや、もうすごかったのは10年前じゃないですか。
TH:でも、僕の子供の頃の印象はもっとマイナーな局のイメージでした。
RK:そうですね。だからほんと10年ぐらい前に、「Youは何しに日本へ?」とか、「家、ついて行ってイイですか?」とかが生まれて、面白い企画がテレ東から出はじめてちょっと天狗になったじゃないですか。自分たちもキー局だみたいな。
TH:テレ東の頃は忙しかったんですか?
RK:もう目が飛び出るほど忙しかった。
TH:それは逃げ出したくなるほどですか?
RK:編集所に何日泊まってたか分かんないですけど、いろいろあって。もう無理ですってなって。編集所からそのまま新幹線に乗って京都に行ってました。友達が京都にいたのと……なぜか京都だったんですよね、気持ち的に。スリッパのまま行っちゃってましたからね。石畳が痛かった(笑)
TH:やっぱりテレビ局の裏方現場はブラックなんですか?
RK:ハイパー・スーパーブラックですよ。殴られてましたし、家なんて全く帰ってなかったし、いじめもあるし、金も払ってるし、先輩の飯をなんで俺が払ってたの? と、おかしなことだらけですよ。犯罪紛いもいっぱいありましたからね。
TH:何年前の話ですか?
RK:10年近く前ですね。
TH:今はだいぶ変わったんでしょうか?
RK:だいぶ変わったんじゃないですかね。
TH:ここの10年で変わったこと多いですよね。
RK:そうですね、僕が多分、最後だと思いますよ。
TH:そういう過酷な環境って、今思うとラッキーだなって思いあたることはありませんか?
RK:本当ですか?
僕は本当にたまたま生き残ったからいいんですけど、僕の周りは辞めましたんで。確かにそれで鍛えられた部分はすごくありますよ。寝ないとか、踏ん張り続けた奴がものづくりの世界で勝つみたいなことはそうなんで、その観点だけは完全にあの時の影響はありますけどね。が、あまりにも非人道的ではある。人間がいなくなっていったらその業界は伸びないじゃないですか。
TH:ダメな側面を分かってるのは見たからですよね。
RK:そうですね。逆に僕は、自分のアシスタントに雑用をふれなくなっちゃいました。なんでも自分でやる人間になっちゃって。嫌じゃないかなとか思って全部自分でやってますね。
TH:ああ。ひとりで動くのが一番楽になっちゃいますね。テレ東の時はなかなか寝れてなかったんですか?
RK:本当に3日間1秒も寝てないことありました。嘘だろうと思ってました。今は無理ですよ、落ちちゃう。当時じゃないと無理ですよね。本当に追い込まれてるからできる。でも今はそんなに追い込まれないじゃないですか、立場的に。本の締め切りとかやばくなりますけどね、ギリギリ。
TH:締め切りとかも落とせないものですしね。連載とかなんですか。
RK:いやいや、連載は僕は本当にやらないようにしてて。絶対守れないんで。本の発売とか最後の原稿とかは、やっぱりずれちゃうと相当な人に迷惑かかる。ウェブの記事とかだったら気にしないですけどね、ちょっと遅れたっていつでもアップできるしとか思ってしまう。紙だといろいろな製造過程に迷惑かかっちゃうんで。
TH:たくさん本も読むんですか。
RK:大好きだけど、読む速度はすこぶる遅く、一冊読むのにすごい時間がかかります。常に持っていて、一冊だけを読んでるってことはないので小説と経済、ルポだとか複数の本を同時に読んでる。
TH:なるほど。エンタメ的には何を一番消費してるんですか?
RK:間違いなく本ですね。一番面白い。書くのも作るものとしても本が好きだし、得るものとしても。
TH:表現としても?
RK:表現者として使える道具がめっちゃ少ないじゃないですか。つまり、言葉、文字しかない。一方で、むしろ道具が減れば減るほど、これを使って何ができるんだろうということに想像力が働く。
TH:なるほど。映像とは違う?
RK:映像だと、ある世界を表現しようとした時、強烈に存在するものを撮る分にはいいんですが、何かを作り出そうとしたらセットを作り、CGを考えて、とすごく大変じゃないですか。だけど、本なら、ほんの2行で読者の頭の中に世界を作り出せる。その可能性にワクワクする。
TH:確かに。
RK:特に映像は大きいスタジオで大きい予算じゃないとできないこともたくさんあるんで。
TH:今はポッドキャストもやっているんですよね。
RK:ラジオみたいに。プラットフォームがSpotify、iTunes、Audibleといつでも聞けるっていうやつ。僕は主にロケスタイルで、レコーダーを持っていろんなところに行っていろんなものを録ってくるっていうことをポッドキャストではやっています。間も無く新しいものを2つ始めるので、テンテコまいですよ。
TH:それは定期で発信するかたちですか?
RK:ひとつは日本の未解決事件を改めて洗い直していて。なかなかヤバいんですよ。小さい村で起こった事件で、容疑者は指名手配されて、300万円の懸賞金がかけられてるんですが、その人は殺されてるって地元の人たちはみんな分かってる。しかも警察も分かってるから、本当の犯人は別にいるけど、誰も口を割らない……。おそらく地元の有力なヤクザと警察が癒着していて、小さい村だから誰も何も喋らないみたいなことが起こっている——みたいなことが言われているそこをこじ開けようとしてるんで。
TH:それはどこで?
RK:TBSラジオとAudibleです。
TH:そんな事件なのにTBSはちゃんと関連してるんですか。
RK:もうなんか覚悟してますみたいな感じですけど。
TH:なるほどね。事件のエピソードには、人間の見えない一面が見えますよね。
RK:おっしゃる通りです。人間が凝縮されるのが事件なんで。だから、面白い。もちろん、本当は面白いって言ってはいけないんですけど、でもやっぱり面白い。
TH:ほとんどの場合、都会で人間が進化していってるように思えるけど、その裏には隠された原始的なものもあるからね。
RK:超動物的になってる。取材していて、「こんなことを言うんだ」ということばかり。9割は使えません。ドギツすぎていろんな人の人権が侵害されちゃいそうだから、すごく難しいところです。
TH:でも、そういうドキュメンタリーを見ていると改めて、人間はものすごく複雑だなと思いますね。
RK:本当そうですよね。
TH:僕は原(一男)監督の、『ゆきゆきて、神軍』とか好きです。
RK:エッジが効きすぎて、多くの人は観られないでしょうね。びっくりしちゃうでしょうし、今はもう作れないでしょう。
TH:今はNGが多すぎますからね。原さんの最新作、『水俣曼荼羅』は6時間くらいありますね。
RK:面白かったです。
TH:あれって休憩無しで6時間見るんですか?
RK:僕は原さんと対談をするとなって映像を送ってくれたんで、家で休憩ながら見ましたけど。
TH:去年対談したんですか。
RK:『BRUTUS』のドキュメント特集に載って、今はMOOK化されているはず。
TH:そうなんですね。トークショーを最後に見たのは3年前くらいですけど、さらに数年前見たときと全然変わらなかった。めちゃくちゃお元気ですよね。
RK:やりたいことや、やらなきゃってことがずっとあるから老いていられないんじゃないですかね。
TH:でも、好きなこととは絶対にそういうものですよね。
RK:確かにそうですね、そうだと思います。山歩き、取材、執筆、編集とかが基本的に僕の生活を作っている行動ですね。まあ、ラジオは収益的にはもう地獄みたいに稼げてないですけどね、TBSのラジオも。
TH:ファンとても多い印象があります。
RK:一部の界隈でしょうね。去年の収益は、TBSラジオ全体で90%の減収というレベルらしい。
TH:スポンサーがいないっていうことですか。
RK:はい。出てこないんでしょうね。やっぱり日本放送とかでお笑い芸人が喋るほうが……。TBSラジオって、結構賢い目というか、割と政治の話やリベラル寄りの国の不正について切り込むこととかも多い。それって今は流行ってないんですよ。
TH:大竹さんのやつとかもTBSラジオですか。
RK:そうだと思います。TBSラジオがガクンって落ちたのには、確か伊集院(光)さんが離れたことも大きかったはず。
TH:伊集院さんはもうやってないんだ。
RK:何か問題が起こって、終わっちゃったんじゃないですか。
TH:先ほどの話ではないけど、ある種、僕も1人でいろんなプロジェクトをやるほうが純粋に面白いことができると思う瞬間はあります。やっぱりスタッフのことを考えても相手はそう受け取らない、思ってくれない、ということはある。
RK:理解できます。僕の最大の課題はやっぱり仲間をそんなに作ってこなかったっていうこと。一人でできることにはやっぱり限界はあります。
TH:人が増えるとプロジェクトも大きくなる一方で、難しさも付き纏う。
RK:だから僕はやっぱり文章とかを書いてる方が向いてるという自覚があるのかもしれない。チームが少なくていいから。映像はチームがどんどん大きくなるから嫌なんですよ、しかも知らない人もいる。その人が不満を抱えてたりしても察知できなかったりするし、自分が作るものの制作過程で不満を抱えてる人がいると、もう何のためにやってたんだっけ?
と自問したくなっちゃうから。
Artist Wardrobe Product
Utility Coat ARTIST WARDROBE / RYOHEI KAMIDE / black
¥113,300
ユーティリティコート アーティストワードローブ / リョウヘイ・カミデ
3回目のアーティストワードローブシリーズ。今回はthとゆかりのある2人のアーティストとそれぞれのユニフォームを一緒に製作しました。
今回は、2019年に『ハイパーハードボイルドグルメリポート』でギャラクシー賞を受賞した、テレビプロデューサーの上出遼平氏との共作。
上出氏が旅路で出会った過酷な環境下で見出した美学をディテールに反映しています。
旅先でサバイブする為の、予測不能な現場で必要とされる、耐久性と機能性を持ち合わせたアイテムとなっております。
内側に忍ばせたPCスロットと、マイクやイヤホンを固定できる専用ループ。
「食」と「生」を記録してきた上出氏ならではの、飾るための服ではなく、生きるための「装備」となっております。
素材はオーストラリア産ファインメリノウールとリサイクルポリエステルを使用したウールトロピカル。
接触冷感による着心地の良さ、防シワ性能も持ち合わせており、しなやかさと程よい膨らみ感のある風合いに仕上げた2WAYストレッチ素材です。
撥水剤に生地を漬け込むことで、撥水機能を付与させるC6撥水加工を施しており、多少の雨であれば水を弾く事が出来ます。
※ドライクリーニング推奨。
※撥水機能は永久的なものではございません。着用や洗濯を繰り返すことにより効果が低下いたします。
※防水ではございません。強い雨などには十分ご注意ください。
Utility Shirt ARTIST WARDROBE / RYOHEI KAMIDE / black
¥81,400
ユーティリティシャツ アーティストワードローブ / リョウヘイ・カミデ
3回目のアーティストワードローブシリーズ。今回はthとゆかりのある2人のアーティストとそれぞれのユニフォームを一緒に製作しました。
今回は、2019年に『ハイパーハードボイルドグルメリポート』でギャラクシー賞を受賞した、テレビプロデューサーの上出遼平氏との共作。
上出氏が旅路で出会った過酷な環境下で見出した美学をディテールに反映しています。
旅先でサバイブする為の、予測不能な現場で必要とされる、耐久性と機能性を持ち合わせたアイテムとなっております。
裾のドローコードを絞ることで、温度調節だけではなく、丸みのあるバルーンシルエットへの変化が可能。
世界中の「食」と「生」を記録してきた上出氏ならではの、飾るための服ではなく、生きるための「装備」となっております。
素材はオーストラリア産ファインメリノウールとリサイクルポリエステルを使用したウールトロピカル。
接触冷感による着心地の良さ、防シワ性能も持ち合わせており、しなやかさと程よい膨らみ感のある風合いに仕上げた2WAYストレッチ素材です。
撥水剤に生地を漬け込むことで、撥水機能を付与させるC6撥水加工を施しており、多少の雨であれば水を弾く事が出来ます。
※ドライクリーニング推奨。
※撥水機能は永久的なものではございません。着用や洗濯を繰り返すことにより効果が低下いたします。
※防水ではございません。強い雨などには十分ご注意ください。
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